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有償運送の運転者が受診する必要がある運転適性診断について

以下の有償運送などを行おうとする運転者が受診しなければならない運転適性診断について、解説いたします。

  • 自家用有償旅客運送(公共ライドシェア)
    • 福祉有償運送
    • 交通空白地有償運送
  • 訪問介護員等による有償運送(ぶら下がり許可)
  • 自家用車活用事業(日本型ライドシェア)
  • 過疎地域における一般乗合旅客自動車運送事業(区域運行)の輸送力補完のための自家用自動車の有償運送
  • 介護タクシー(一般乗用旅客自動車運送・福祉輸送事業限定)
  • 特定旅客自動車運送
目次

運転適性診断の種類と実施事業者について

旅客・貨物の二種類がありますので、基本的に旅客の運転適性診断を受ける必要があります。

運転適性診断を実施している場所は、全国の独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)または、国土交通省のHPに記載してある事業者が実施している運転適性診断となります。

各運送ごとの、受診する必要がある適性診断について

介護タクシー(福祉輸送事業限定)や特定旅客自動車運送、自家用自動車の有償運送を行おうとする運転者が受診しなければならない運転適性診断やルールは、それぞれ以下のとおりです。

自家用有償旅客運送(公共ライドシェア)の場合

以下の自家用有償旅客運送(公共ライドシェア)を行う場合のルールは下記解説の通りです。

  • 福祉有償運送
  • 交通空白地有償運送

適性診断を受診しなければならない場合と、そのルール

活動を始めてから万一、死者または重傷者が生じた事故を引き起こした場合、または交通違反等により免許停止処分になった場合、全国の独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)等が実施する適性診断を受診する必要があります。上記NASVA以外の適性診断については、こちら(「国交省」の自動車総合安全情報)をご覧ください。

(自家用有償旅客運送自動車の運転者)
第五十一条の十六
 自家用有償旅客運送者は、自家用有償旅客運送自動車の運転者が死者又は負傷者(自動車損害賠償保障法施行令(昭和三十年政令第二百八十六号)第五条第二号、第三号又は第四号に掲げる障害を受けた者をいう。)が生じた事故を引き起こした場合その他輸送の安全が確保されていないと認められる場合には、当該運転者に対して、旅客自動車運送事業運輸規則第三十八条第二項の適性診断を受けさせなければならない。

道路運送法施行規則(昭和二十六年運輸省令第七十五号)より引用

上記の記述から、バス・タクシー(いずれも事業用)の運転者と同じ運転適性診断(旅客)特定診断ⅠまたはⅡ(事故状況による。詳細は後述)を受診することが望ましいと考えられます。

各資料ごとの表記の違いについて

上記の道路運送法施行規則では、特に独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)のみと限定している条文ではありません。

しかし、「福祉有償運送の登録に関する処理方針について」および「交通空白地有償運送の登録に関する処理方針について」を参照すると、こちらの記述は独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)のみと限定する文章になっています。

登録後において、施行規則第51条の16第2項に規定する事故を惹起した運転者には、独立行政法人自動車事故対策機構が実施する適性診断を受診させること。また、「その他輸送の安全が確保されていないと認められる場合」とあるのは、運送者に所属する運転者が道路交通法違反を惹起した結果、運転免許停止以上の処分を受けることとなった場合をいうものとし、運送者は、当該運転者に適性診断を受診させ、運転免許の停止条件が解除された後でなければ運転業務を再開させてはならないものとする。

福祉有償運送の登録に関する処理方針について」および「交通空白地有償運送の登録に関する処理方針について」より引用

しかし、「福祉有償運送ガイドブック(平成20年3月・国土交通省自動車交通局旅客課)」を参照すると、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)のみと限定している文章ではありません。

◯ 適性診断を受診しなければならない場合
運送者は、登録後に、死者又は重傷者を生じた事故を惹起した運転者や運転免許停止以上の処分を受けることとなった運転者について、独立行政法人自動車事故対策機構等が実施する適性診断を受診させ、運転免許の停止が解除された後でなければ運転を再開させてはなりません。

福祉有償運送ガイドブック(平成20年3月・国土交通省自動車交通局旅客課)」より引用

このところ確認したところ、実際には独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)のみに限定するものではないとのことです。実際には、上記条文を提示するなどして、各運輸支局等へ確認してください。

根拠については、上記の各引用をご確認ください。

特定診断ⅠとⅡの違いについて

特定診断ⅠとⅡの対象者の違いについては、以下の通りです。

名称対象者
特定診断Ⅰ死亡又は重傷事故を起こし、かつ、当該事故前の1年間に事故を起こしたことがない者
軽傷事故を起こし、かつ、当該事故前の3年間に事故を起こした事がある者
特定診断Ⅱ死亡又は重傷事故を起こし、かつ、当該事故前の1年間に事故を起こした者

適性診断の結果表の取り扱いについて

基本的に、社内保管していただくのは当然の業務として考えられます。

また、事業所において運転者を登録するときに、新規登録の場合や、更新登録を行う際にきちんと登録できる方なのかどうかを判断できる客観的な材料として、過去に免許停止以上の処分を受けた者や、死者または重傷者が生じた事故を起こした者を登録させる際に、運営協議会などから求められた場合に、適性診断の結果や、運転経歴証明書などを用いる(添付する)場合があります。

旅客自動車運送事業者が行う自家用自動車の有償運送や、介護タクシー(一般乗用旅客自動車運送・福祉輸送事業限定)・特定旅客自動車運送の場合

以下の介護タクシー(福祉輸送事業限定)や特定旅客自動車運送、自家用自動車の有償運送を行う場合のルールは下記解説の通りです。

  • 訪問介護員等による有償運送(ぶら下がり許可)
  • 自家用車活用事業(日本型ライドシェア)
  • 過疎地域における一般乗合旅客自動車運送事業(区域運行)の輸送力補完のための自家用自動車の有償運送
  • 介護タクシー(一般乗用旅客自動車運送・福祉輸送事業限定)
  • 特定旅客自動車運送

適性診断を受診しなければならない場合と、そのルール

上記いずれの場合は、運転者全員が旅客の運転適性診断を受診しなければなりません。

ただし、新たに雇い入れた者が、当該タクシーの営業区域内において、雇入れの日の2年以内に通算90日異常、タクシー運転者であったときは、改めて受診する必要はありません。

  • 新たに契約した運転者:初任診断
  • 65歳以上の高齢者(運転者):適齢診断
  • 死傷事故を引き起こした運転者:特定診断ⅠまたはⅡ(事故状況による)

ここでのポイントは、訪問介護員等による有償運送の場合は、免許停止処分を受けた場合には適性診断の受診義務は発生しないという部分です。どうしてこうなっているのか?というのが甚だ疑問が生じる部分ではありますが、この違いについて理解していただければ幸いです。

根拠:旅客自動車運送事業運輸規則第36条第2項旅客自動車運送事業運輸規則第38条第2項旅客自動車運送事業運輸規則第47条の8

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