2022年1月21日以降の講習会は、通常通り実施予定です
(埼玉県におけるまん延防止等重点措置への対応)

79条登録・自家用有償旅客運送のはじめ方(福祉有償運送・交通空白地有償運送)

自治体(市区町村)や、以下のNPO法人・社会福祉法人等の非営利法人・団体の方で、自家用有償旅客運送(福祉有償運送・交通空白地有償運送)を始めたい方は、この記事をお読みいただければ幸いです。

自家用有償旅客運送が実施可能な法人・団体
  • 自治体(市区町村)
  • NPO法人(特定非営利活動法人)
  • 医療法人
  • 社会福祉法人
  • 一般社団法人
  • 一般財団法人
  • (地方自治法に規定する)認可地縁団体(自治体・町内会などを法人化したもの)
  • 農業協同組合
  • 消費生活協同組合
  • 商工会または商工会議所
  • 営利を目的としない法人格を有しない社団

任意団体個人事業主や、営利法人(株式会社・有限会社・合同会社・合資会社等)は自家用有償旅客運送を行うことができません。

営利法人(株式会社・有限会社・合同会社・合資会社等)が有償運送を行う場合には、訪問介護員等による有償運送(78条許可)を行います。詳しくはこちらのページで解説しています。

目次

福祉有償運送と交通空白地有償運送について

福祉有償運送と交通空白地有償運送は、それぞれ以下の場合に実施することが可能です。

福祉有償運送単独ではタクシー・その他の公共交通機関を利用することが困難な、介護が必要な高齢者・障害者等が外出するための移動手段を確保したい
交通空白地有償運送バス・タクシー事業者のサービス提供が困難な地域で、住民・観光旅客等が外出するための移動手段を確保したい

旧称のもので、過去には

  • 市町村運営有償運送(市町村福祉輸送、市町村交通空白輸送)
  • 過疎地有償運送
  • 公共交通空白地有償運送

といったものがございましたが、それぞれ現在では福祉有償運送・交通空白地有償運送の2つに名称統合されました。

併せて参考にしよう

福祉有償運送に関する、より詳しい知見が「地域公共交通のトリセツ(取扱説明書)」のホームページで紹介されています。ぜひお読みください。

対象旅客(利用者)の範囲

それぞれの、具体的な対象旅客(利用者)の範囲は以下の通りです。

福祉有償運送身体障害者、精神障害者、知的障害者、要介護認定者、要支援認定者、基本チェックリスト該当者、肢体不自由その他の障害(たとえば、人工透析を受けているなどの内部障害者、難病患者など)を有する者のうち、他人の介助によらず移動することが困難で、単独では公共交通機関を利用することが困難な者、およびその付添人
交通空白地有償運送地域住民、観光旅客その他当該地域を来訪する者

福祉有償運送・交通空白地有償運送を始めるには

手続きとしては以下の流れとなります。

事業開始前の手続き

STEP
地域公共交通会議等(地域公共交通会議、協議会、運営協議会)を開催し、協議が調う

福祉有償運送・交通空白地有償運送を行おうとするときは、まず最初に地域公共交通会議等で協議が調う(たとえば、過半数の意見が一致するなど)必要があります。

地域公共交通会議等(地域公共交通会議・協議会・運営協議会)は、ひとつ又は複数の市区町村、または都道府県が主宰しています。まず、最寄りの運輸支局等へお問い合わせいただき、その後に地域公共交通会議等の窓口となっている各自治体への連絡調整をお勧めします。埼玉県・栃木県・新潟県・長野県などの場合には、運輸支局の代わりに県庁が窓口となっています。

各都道府県ごとの自家用有償旅客運送の窓口

自家用有償旅客運送の事務権限の地方公共団体への移譲が進むにあたり、今後窓口が異なってくる場合があります。

地域公共交通会議等は、運送の必要性・対価・条件等について協議する場です。バス・タクシー等の公共交通機関によって、移動制約者に対する十分な輸送サービスが確保されていないと認められ、その必要性について協議を行います。

地域公共交通会議等の構成員は、市町村長・都道府県知事、公共交通機関の事業者、住民、地方運輸局長、公共交通機関の運転者、すでに自家用有償旅客運送を行っている事業者、利用者の代表者、学識経験者など、地域によっても様々です。

この際に、地域公共交通会議等に

  1. 協議依頼書
  2. 登録申請書(案)

の提出が必要になります。

地域公共交通会議等による協議が調ったら、「地域公共交通会議等において協議が調ったことを証する書類」が発行されます。

STEP
自家用有償旅客運送の登録申請を行う

次に、運輸支局等に

  1. 登録申請書
  2. 地域公共交通会議等において協議を調ったことを証する書類

を提出します。

登録が終わりましたら、登録番号が記載された登録証が発行されます。

事業開始後の必要書類や、登録内容に変更が生じた場合の手続きなど

以上で手続き完了ですが、事業開始後は以下の必要書類や、車体表示・車内表示ルールなどがあります。

日々の運行管理上、必要な書類や車体表示・車内表示、任意保険・共済

日々の運行管理上、必要な書類や車体表示・車内表示、任意保険・共済について以下の記事にまとめました。

登録内容に変更などが生じたときは、以下の解説をお読みください。

登録内容に変更が生じたとき

  1. 運送の区域を拡大する場合
  2. 旅客の範囲を拡大する場合(たとえば、身体障害者だけではなく知的障害者も対象とする場合など)
  3. 運送の種別の変更

においては、地域公共交通会議等で協議が調う必要があります。その後変更登録を行う必要があります。

運送の対価変更については、地域公共交通会議等で協議が調う必要があります。運輸支局等への変更届出は必要ありません。

上記以外の登録事項を変更する場合には、軽微な変更届出が必要となります。変更のあった日から30日以内に、運輸支局等へ「登録事項変更届出書」を提出し、地域公共交通会議等へ報告する必要があります。軽微な変更は、たとえば以下のようなものがあります。

  1. 法人・団体の名称や住所、代表者の氏名等の変更
  2. 運送の区域が縮小する場合
  3. 自動車の数、種類などの変更
  4. 運転者の数などの変更

輸送実績の報告

毎年、前年4月1日~3月末までの輸送実績を、5月末までに報告します。

重大事故が発生したとき

自動車事故報告規則に基づき、重大事故が発生した場合は運輸支局等に30日以内または24時間以内に事故報告(後者は「速報」という)を行わなければなりません。

登録の有効期間(2年または3年、事業者協力型は5年)満了後の更新登録

福祉有償運送・交通空白地有償運送の登録について、有効期間は2年または3年となります。事業者協力型については5年となります。

更新の事務手続きは、新規登録申請と同様に申請者が書類を作成し、地域公共交通会議等の事務局へ提出し、地域公共交通会議等を開催し、協議を調える必要があります。協議が調った後に、変更登録申請を行います。申請後、登録証が発行されます。

業務を停止し、登録の取消しを行うとき(廃止届出)

業務を停止し、登録の抹消(廃止)手続きを行う場合は、運輸支局等に廃止届出を提出します。

福祉有償運送・交通空白地有償運送の運転者の要件

福祉有償運送または交通空白地有償運送の運転者は、以下のいずれかの要件を満たすことが必要です。

福祉有償運送

福祉車両(福祉自動車)で送迎輸送を行う場合

リフト・スロープ・回転シート等の装備が備わっている福祉車両で送迎輸送を行う場合は、以下の3つのうち、いずれか1つの要件を満たすことが必要です。

  • 2種免許(福祉有償運送運転者講習等の修了は不要)
  • 1種免許+福祉有償運送運転者講習の修了
  • 1種免許+ケア輸送サービス従事者研修の修了

福祉車両以外の自動車(セダン型)で送迎輸送を行う場合

上記の福祉車両以外の自動車で送迎輸送を行う場合には、上記の要件に加えて以下の5つのうち、いずれか1つの要件を満たすことが必要です。

  • セダン等運転者講習の修了
  • ケア輸送サービス従事者研修の修了
  • 介護福祉士
  • 訪問介護員
  • 指定居宅介護等の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるもの(居宅介護従事者)

上記のうち、介護福祉士・訪問介護員・指定居宅介護等の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるもの(居宅介護従事者)についての詳細は、以下の通りです。ケア輸送サービス従事者研修または以下の有資格者・研修修了者は、セダン等運転者講習の受講免除対象者となります。

介護福祉士・訪問介護員・居宅介護従事者の詳細について
  • 介護福祉士
  • 訪問介護員
    • 実務者研修修了
    • 介護職員初任者研修修了(看護師・准看護師・保健師を含む)
    • 訪問介護員養成研修(ヘルパー)1級修了
    • 訪問介護員養成研修(ヘルパー)2級修了
    • 介護職員基礎研修修了
  • 指定居宅介護等の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるもの(居宅介護従事者)
    • 居宅介護職員初任者研修修了
    • 障害者居宅介護従業者基礎研修修了
    • 重度訪問介護従業者養成研修修了
    • 行動援護従業者養成研修修了
    • 強度行動障害支援者養成研修(実践研修)修了
    • 同行援護従業者養成研修修了
    • 介護職員初任者研修課程修了
    • 生活援助従事者研修課程修了
    • 視覚障害者外出介護従業者養成研修修了(ガイドヘルパー)
    • 全身性障害者外出介護従業者養成研修修了(ガイドヘルパー)
    • 知的障害者外出介護従業者養成研修修了(ガイドヘルパー)

看護師・准看護師・保健師の方は、介護職員初任者研修を修了したものとみなされます。各都道府県の判断により、「看護師等の資格証」をもって代えることができるとされています。群馬県などの場合は、県から修了証明書が発行されてから、訪問介護員として従事することが可能になります。

交通空白地有償運送

以下の4つのうち、いずれか1つの要件を満たすことが必要です。

  • 2種免許(福祉有償運送運転者講習等の修了は不要)
  • 1種免許+交通空白地有償運送運転者講習(旧・市町村運営有償運送等運転者講習)の修了
  • 1種免許+福祉有償運送運転者講習の修了
  • 1種免許+自家用自動車管理業運転サービス科の修了

その他の共通要件

上記の要件に加え、

  • 2種免許の方は、免許停止中ではない
  • 1種免許の方は、過去2年以内に免許停止がない

ことが条件になります。

福祉有償運送運転者講習・セダン等運転者講習を受講したい方は

福祉有償運送運転者講習・セダン等運転者講習の受講が必要な方は、以下のページからお申込みください。ご希望日がない場合には、出張講習にも対応しています。

活動を始めてから、免許停止処分になった場合

活動を始めてから、免許停止処分になった場合には適性診断の受診義務が発生します。以下のブログ記事をお読みいただき、適性診断を受診してください。

適性診断を受診した後は、免許停止が解除された後に送迎業務を行うことが可能になります。

運行管理の責任者・安全運転管理者の選任について

  • 福祉有償運送に使用する自動車の数が、1事業所あたり5台以上
  • 交通空白地有償運送に使用する自動車の数が、1事業所あたり5台以上(乗車定員11人乗り以上の場合は1台以上)

の場合には、一定の資格を持った運行管理の責任者安全運転管理者を選任する必要があります。

上記の自動車の台数を満たさない場合でも、運行管理の責任者の選任自体は必要ですが、資格については不問です。

運行管理の責任者の選任要件

上記の運行管理者の責任者となるためには、以下のいずれかの要件が必要です。

  • 運行管理者資格者証の交付を受けている者
  • 運行管理者試験の受験資格を有する者(運行管理者基礎講習(3日間)を受講した者等)
  • 安全運転管理者の要件を備える者

安全運転管理者とは

安全運転管理者の業務(義務)や要件は、以下のページをご覧ください。

自動車の整備管理者は?

整備管理の責任者の選任は必要ですが、資格については不問です。

福祉有償運送・交通空白地有償運送のその他詳細

上記に記載した以外の、その他の細かい内容について以下にまとめました。

福祉有償運送交通空白地有償運送
運送の区域地域公共交通会議等により協議が調った市区町村などを区域とし、出発地または到着地のいずれかが区域内にあること路線を定めて運行するか、デマンド運行を行う
もしくは、区域を定めて、出発地または到着地のいずれかが区域内にあること
使用車両乗車定員11人乗り未満の自動車
福祉車両もしくは福祉車両以外の自動車
運転者自身の持ち込み車両等も可
乗車定員11人乗り以上の自動車
乗車定員11人乗り未満の自動車(福祉車両を含む)
運転者自身の持ち込み車両等も可
運送の対価距離制・時間制・定額制
実費の範囲内であり、営利として認められないこと
概ねタクシー料金の2分の1程度であるが、地域公共交通会議等で認められた場合には2分の1を超える対価設定も可能
運送の対価以外の料金として、迎車回送料金・待機料金・会員登録料金・年会費など
路線を決めて行う場合、その地域における撤退前のバス運賃を目安に、地域公共交通会議等で協議が調った対価設定
距離制・時間制・定額制
実費の範囲内であり、営利として認められないこと
概ねタクシー料金の2分の1程度であるが、地域公共交通会議等で認められた場合には2分の1を超える対価設定も可能
運送の対価以外の料金として、迎車回送料金・待機料金など

事業者協力型自家用有償旅客運送とは?

事業者協力型自家用有償旅客運送とは、2020年11月27日より施行された、福祉有償運送・交通空白地有償運送の

  • 運行管理
  • 整備管理(自動車の整備管理)

を、一般旅客自動車運送(バス・タクシー)を行っている事業者の協力を得て行うものです。

運送を行う法人・団体が、上記の協力事業者に運行管理・自動車の整備管理を委託することになりますが、委託する業務内容・範囲、責任に具体的な規定はありません。事業者間で取り決めます。

事業者協力型で福祉有償運送・交通空白地有償運送を実施する場合、

  • 登録時(新規・更新)に必要な書類が一部省略
  • 登録の有効期間が5年

になります。

福祉有償運送と関連する介護給付費などの制度

主に福祉有償運送と関連する介護給付費などの制度は、以下の通りです。

地域によっては乗車運賃の割引として福祉タクシー券が利用できる場合があります。

埼玉県内においては、障害者および障害児について「生活サポート事業(独自の制度)」が利用できる場合があります。

また、福祉有償運送で要支援者・基本チェックリスト該当者の送迎を行う場合、以下の介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)に基づく運営費の補助が受けられる場合があります(訪問型サービスD(移動支援)・訪問型サービスB)。

【最後に】この記事を読んでいただいたみなさまへ

この記事を読んでいただいて、みなさまの現場でお役立ていただければ大変うれしく思います。

また、記事をお読みいただいた方から、時折当社へ「福祉有償運送」や「訪問介護員等による有償運送(ぶら下がり許可)」などの許認可申請に関するご質問やご要望をいただくことがございます。しかしながら、ある程度以上のお話しになった場合には、該当する許認可申請などについては、必ず管轄の行政機関へ直接お問い合わせいただくようにご案内させていただくか、もしくは行政書士へお繋ぎをするなどの対応させていただく場合がございますのでご了承ください。

スタッフより

当社では行政書士が不在のため、一定の内容以上の許認可申請にかかわるお話しになった場合については、上記の通り回答できない場合がございますので予めご容赦いただくますようお願い申し上げます。

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