有料道路の障がい者割引制度が、2023年(令和5年)3月27日(月曜日)から改正されます。
具体的には、有料道路の障がい者割引は、これまで事前登録された自動車1台(個人名義のみ)に限り割引を適用していましたが、自家用車をお持ちでない方が知人の車やレンタカーを利用する場合や、介護が必要な重度の障がい者の方がタクシーや福祉有償運送を利用する場合などに、事前登録がない自動車でも割引を適用します。
2024年以降、自家用車活用事業(いわゆる、ライドシェア)が始まりましたが、有料道路の障がい者割引の対象となるのはタクシーと福祉有償運送のみで、交通空白地有償運送・訪問介護員等による有償運送・自家用車活用事業(法人タクシー事業者による交通サービスを補完するための地域の自家用車・ドライバーを活用した有償運送)や、許可又は登録を要しない運送は、割引の対象外です。
利用開始日
2023年(令和5年)3月27日(月曜日)
割引料金額
割引料金額は、通常料金の半額※です。
※この割引料金額の最小計算単位を10円とし、10円未満の端数が生じる場合は切り上げ10円とします。
新たに利用対象になる自動車
- 身体障がい者の方が自ら運転する場合(身体障害者手帳の交付を受けているすべての方が対象)
- 上記の自ら運転する場合を、この記事では本人運転と定義し解説します。
- 重度の身体障がい者の方もしくは重度の知的障がい者の方が同乗し、障がい者ご本人以外の方(介護者)が運転する場合(身体障害者手帳又は療育手帳の交付を受けている方のうち、重度の障がい※をお持ちの方が対象になります。)
- 上記の重度の場合を、この記事では介護運転と定義し解説します。
※重度の障がいの範囲は、手帳に記載されている「旅客鉄道株式会社旅客運賃減額」の第1種と同じ範囲。
について、これまでは障がい者の方1人につき自動車1台を事前に登録していただいてました。車検証上の自家用・事業用の欄に「自家用」と記載されているもののうち、乗車定員10人以下の自動車(軽自動車も対象)です。
今後については、以下の通りとなります。
自動車 | 本人運転 | 介護運転 |
---|---|---|
乗用自動車※ 車検証の用途欄に「乗用」と記載されているもので、乗車定員10人以下のもの ※ただし、業務利用などの自動車は引き続き本割引の対象外です。 | ○ | ○ |
貨物自動車※ 車検証の用途欄に「貨物」と記載されているもので、後部座席が設置され4人以上10人以下のもののうち、乗車設備と荷台に仕切りがないもの、または乗車設備と荷台が仕切られているもので最大積載量が500kg以下のもの ※ただし、業務利用などの自動車は引き続き本割引の対象外です。 | ○ | ○ |
特種用途自動車※ 車検証の用途欄に「特種」と記録されているもののうち、車体の形状に車いす移動車(身体障害者輸送車)、患者輸送車またはキャンピング車と記録されているもので、乗車定員が10人以下のもの ※ただし、業務利用などの自動車は引き続き本割引の対象外です。 | ○ | ○ |
二輪自動車※ 総排気量が125ccを超えるもの ※ただし、業務利用などの自動車は引き続き本割引の対象外です。 | ○ | ○ |
レンタカー 貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車のうち、上記記載の乗用自動車、貨物自動車、特種用途自動車、二輪自動車 | ○ | ○ |
借りた自動車 親族や知人等の所有する自動車※、車検・修理時の代車や社会福祉協議会貸出車両などのうち、上記記載の乗用自動車、貨物自動車、特種用途自動車、二輪自動車 ※ただし、業務利用などの自動車は引き続き本割引の対象外です。 | ○ | ○ |
タクシー※(福祉輸送事業限定の介護・福祉タクシーを含む) 道路運送法第3条第1号ハに定める一般乗用旅客自動車運送事業、もしくは同条第2号に定める特定旅客自動車運送事業にかかわる、上記記載の乗用自動車、特種用途自動車のうち、車検証上の自家用・事業用の欄に「事業用」と記録されているもの。 ※ETCカードを車載器から抜くことが出来ないタクシーでは本割引は適用されません。 | ✕ | ○ |
福祉有償運送車両 道路運送法第78条第2号に定める自家用有償旅客運送のうち、同法施行規則第49条第2号に定める福祉有償運送に係る上記記載の乗用自動車、特種用途自動車※ ※貨物自動車は含まれていません。 | ✕ | ○ |
業務利用の自動車で、利用できる場合と利用できない場合について詳細
上記に記載の通り、福祉有償運送を除く、その他の自動車では業務利用の自動車は割引の対象外です。以下の点に留意してください。
- 現在、福祉有償運送は行っていない高齢者介護・障がい者福祉事業所(デイサービス・特別養護老人ホーム・放課後等デイサービス・グループホームなど)だが、使用している自家用自動車は有料道路の障がい者割引の対象になるか?
-
割引の対象外です。
対象外(適用外)の自動車に関して、具体的には以下の通りです。
営業用の自動車 (割賦契約若しくは貸借契約等により自動車を利用している場合以外であって、自動車検査証等の「所有者の氏名又は名称」若しくは「使用者の氏名又は名称」に法人名が記録されているもの、自動車検査証等の「自家用・事業用の別」に事業用と記録されているもの又は外見上営業のために使用していることが明らかであるもの等。以下同じ。)
障発0210第1号(障害者に対する有料道路通行料金の割引措置の改正について)より引用 - 交通空白地有償運送の事業者だが、使用している自家用自動車は有料道路の障がい者割引の対象になるか?
-
割引の対象外です(こちらのPDF資料にて、明確に利用が否定されています)。
- 訪問介護員等による有償運送(ぶら下がり許可)の事業者だが、使用している自家用自動車は有料道路の障がい者割引の対象になるか?
-
割引の対象外です。本Q&Aの最初の質問の、福祉有償運送は行っていない高齢者介護・障がい者福祉事業所の場合と考え方は同一です。
- 許可又は登録を要しない運送を行っているが、使用している自家用自動車は有料道路の障がい者割引の対象になるか?
-
上記同様に、割引の対象外です。
その他の場合については、高速道路会社へお問い合わせください。
適用拡大した自動車での料金所での対応方法
料金を支払う料金所では、必ず一般レーン、一般・ETCの混在レーンまたはサポートレーンに進入することが必要です。料金所では、必ず障がい者手帳の提示が必要です。
入口で料金を支払う場合
- 入口の料金所(一般レーン、一般・ETCの混在レーンまたはサポートレーン)で、係員に障がい者手帳を提示します。ETCカードで支払う場合は、ETCカードも係員に渡して返却されたETCカードを車載器に挿入して発進します。現金の場合は、現金でお支払いください。
- 出口ではノンストップで通過します。
出口で料金を支払う場合
- 入口では一般レーン、一般・ETCの混在レーンまたはサポートレーンで通行券を受領します。
- 出口の料金所(一般レーン、一般・ETCの混在レーンまたはサポートレーン)では、係員に通行券・障がい者手帳を提示します。ETCカードで支払う場合は、ETCカードも係員に渡して返却を受けてから発進します。現金の場合は、現金でお支払いください。
利用したい方(利用者)の手続き
現在、自動車が事前登録されているか否かにかかわらず、登録した車以外を利用するためには、事前に割引の申請手続きが必要です。
2023年(令和5年)3月27日(月曜日)から、新たに高速道路会社によりオンライン申請が開始されます。オンライン申請をすれば、市役所・役場の窓口を直接訪れる必要はありません。円滑にオンライン申請受付を開始するため、当初は自動車を事前登録のうえ、ETC利用申請をされる方に限定して受付します(徐々に条件が緩和されます)。
オンライン申請にあたり、障害者手帳の情報を取得するため、マイナンバーカードのご用意と、「マイナポータル」への登録が必要となります。
オンライン申請がご利用できない方などのため、市区町村の協力のもと、福祉事務所等による申請受付も継続します。
詳細については、自治体(市区町村)や高速道路会社へお問い合わせください。
利用上の注意
不適切な利用があった場合に厳正に対処するため、割引適用の停止措置強化などの見直しを行います。
また、タクシー・福祉有償運送のサービスを行っている事業者に対しては、必ず事前に割引が利用可能かどうかを問い合わせた上で、利用してください。
タクシー・福祉有償運送での利用対象者は重度の身体障がい者・知的障がい者の方が利用対象者となります(身体障がい者自ら運転できる場合は、タクシー・福祉有償運送は利用対象外です)。利用対象者については、こちらでも解説しています。
タクシー、福祉有償運送事業者の対応方法
たとえば、以下の事業者の対応が必要になることが想定されます。
事業用 | 自家用有償旅客運送 |
---|---|
一般タクシー(法人タクシー) 個人タクシー 介護タクシー(福祉輸送事業限定) 特定旅客自動車運送 | 福祉有償運送のみ |
今回の利用拡大(要件の緩和)については、上記の事業者・運転者の協力があって初めて成立するものです。
ここでの利用対象者は、重度の身体障がい者・知的障がい者の方が利用対象者となります(身体障がい者自ら運転できる場合は、タクシー・福祉有償運送は利用対象外です)。利用対象者については、こちらでも解説しています。
上記の事業者は、新たに何かの準備(申請手続き)が必要か?答えは「不要」
上記の事業者は、新たに何か国や高速道路会社などに対して、事前に申請手続きが必要かどうかについては、これは手続き不要です。
具体的に、運転者は当日どのような対応を行えば良いのか(対応マニュアル)
お客様(利用者)から利用の希望を求められたら、問い合わせ時に利用可能であることを伝え、当日の運転者が以下のマニュアル通りの対応をしてください。以下が、国で統一の資料(PDF)です。
基本的には、料金を支払う料金所ではETC専用レーンは使いません。今回の適用拡大した自動車での共通の対応方法(使用方法)はこちらでも解説しています。