自治体(市区町村)や、以下のNPO法人・社会福祉法人等の非営利法人・団体の方で、自家用有償旅客運送(福祉有償運送・交通空白地有償運送)を始めたい方は、この記事をお読みいただければ幸いです。
自家用有償旅客運送(福祉有償運送・交通空白地有償運送)の別名として、国土交通省は2024年8月から「公共ライドシェア」という名称を用いています。
- 自治体(市区町村)
- NPO法人(特定非営利活動法人)
- 医療法人
- 社会福祉法人
- 一般社団法人
- 一般財団法人
- (地方自治法に規定する)認可地縁団体(自治会・町内会などを法人化したもの)
- 農業協同組合
- 消費生活協同組合
- 商工会または商工会議所
- 労働者協同組合
- 営利を目的としない法人格を有しない権利能力なき社団(自治会、青年会、観光関係の協議会など)
最後の「権利能力なき社団」を認める(必ずしも法人格を求めない)ことについては、平成27年(2019年)に「地域の実情に応じた自家用有償旅客運送の見直し」というのが行われて、弾力的に実施することが可能となっています。
任意団体や個人事業主や、営利法人(株式会社・有限会社・合同会社・合資会社等)は自家用有償旅客運送を行うことができません。
営利法人(株式会社・有限会社・合同会社・合資会社等)が有償運送を行う場合には、訪問介護員等による有償運送(78条許可)を行います。詳しくはこちらのページで解説しています。
福祉有償運送と交通空白地有償運送について
福祉有償運送と交通空白地有償運送は、それぞれ以下の場合に実施することが可能です。
福祉有償運送 | 単独ではタクシー・その他の公共交通機関を利用することが困難な、介護が必要な高齢者・障害者等が外出するための移動手段を確保したい |
交通空白地有償運送 | バス・タクシー事業者のサービス提供が困難な地域で、住民・観光旅客等が外出するための移動手段を確保したい |
旧称のもので、過去には
- 市町村運営有償運送(市町村福祉輸送、市町村交通空白輸送)
- 過疎地有償運送
- 公共交通空白地有償運送
といったものがございましたが、それぞれ現在では福祉有償運送・交通空白地有償運送の2つに名称統合されました。
このうち、主に交通空白地有償運送に関しては、別称として自治体ライドシェア・過疎地ライドシェア・復興ライドシェアなどといった呼ばれ方をすることもあります。
福祉有償運送に関する、より詳しい知見が「地域公共交通のトリセツ(取扱説明書)」のホームページで紹介されています。ぜひお読みください。
対象旅客(利用者)の範囲
それぞれの、具体的な対象旅客(利用者)の範囲は以下の通りです。
福祉有償運送 | 身体障害者、精神障害者、知的障害者、要介護認定者、要支援認定者、基本チェックリスト該当者、肢体不自由その他の障害(内部障害・難病患者・発達障害(自閉症、学習障害など)・手帳を持っていない人など)を有する者のうち、他人の介助によらず移動することが困難で、単独では公共交通機関を利用することが困難な者、およびその付添人 |
交通空白地有償運送 | 地域住民、観光旅客その他当該地域を来訪する者 |
交通空白地有償運送については、従来は「過疎地域その他の交通が著しく不便な地域」において、その地域住民その他当該地域を反復継続して来訪する者が対象者でしたが、現在はその地域の観光旅客その他地域を来訪する者(健常者が含まれる)を対象旅客として協議し設定(申請)が可能です。
福祉有償運送については、旅客の範囲(利用者の区分)は、次に掲げる者のうち他人の介助によらず移動することが困難であると認められ、かつ単独でタクシーその他の公共交通機関を利用することが困難な者です。
- イ:身体障がい者
- ロ:精神障がい者
- ハ:知的障がい者
- ニ:要介護認定者
- ホ:要支援認定者
- ヘ:基本チェックリスト該当者
- ト:その他障がい
- 肢体不自由その他の障害(内部障害・難病患者・発達障害(自閉症、学習障害など)・手帳を持っていない人など)を有する者
つまり、福祉有償運送の場合は、身体障がい者・精神障がい者・知的障がい者・要介護認定者・要支援認定者・基本チェックリスト該当者・その他障がいを有する人(手帳を持っていない人)すべてにおいて、「単独での移動が困難で、単独でタクシーが利用できない場合」という条件が付いてきます。
たとえば、歩行が困難な場合や、その他の理由により一人での移動が困難で、常時の見守り・介護が必要な場合などが利用条件に含まれます。
福祉有償運送を行おうとする場合、上記の7種類の区分から利用対象者について協議し設定(申請)する必要があります。また、「現状いない区分だが、将来利用が見込まれる区分の利用者(将来の輸送対象の利用者)」についても協議対象とすることは可能との見解が出ています。詳しくはこちらをご覧ください。
福祉有償運送・交通空白地有償運送を始めるには
手続きとしては以下の流れとなります。
事業開始前の手続き
福祉有償運送・交通空白地有償運送を行おうとするときは、まず最初に地域公共交通会議等で協議が調う(たとえば、過半数の意見が一致するなど)必要があります。
地域公共交通会議等(地域公共交通会議・協議会・運営協議会)は、ひとつ又は複数の市区町村、または都道府県が主宰しています。まず、最寄りの運輸支局等へお問い合わせいただき、その後に地域公共交通会議等の窓口となっている各自治体への連絡調整をお勧めします。埼玉県・栃木県・新潟県・長野県や、横浜市・藤枝市などの場合には、権限委譲のため、運輸支局の代わりに県庁や市役所が窓口となっています。
地域公共交通会議等は、運送の必要性・対価・条件等について協議する場です。バス・タクシー等の公共交通機関によって、移動制約者に対する十分な輸送サービスが確保されていないと認められ、その必要性について協議を行います。
地域公共交通会議等の構成員は、市町村長・都道府県知事、公共交通機関の事業者、住民、地方運輸局長、公共交通機関の運転者、すでに自家用有償旅客運送を行っている事業者、利用者の代表者、学識経験者など、地域によっても様々です。
この際に、地域公共交通会議等に
- 協議依頼書
- 登録申請書(案)
の提出が必要になります。
地域公共交通会議等による協議が調ったら、「地域公共交通会議等において協議が調ったことを証する書類」が発行されます。
「協議が調う」とは、必ずしも全会一致を求めるものではありません。
申請者は、関係者(地方公共団体の長、バス・タクシー事業者、住民または旅客、バス・タクシーの運転者が組織する団体、その他協議を調える必要があると判断する者)に書面の郵送または持ち回りで了解を得るなどの方法で協議を調えること(協議会・地域公共交通会議等に代えること)が可能です。
これは、より柔軟に協議会等を開催していただきたいという意味合いでもあります。
次に、運輸支局等に
- 登録申請書
- 地域公共交通会議等において協議を調ったことを証する書類
を提出します。
登録が終わりましたら、登録番号が記載された登録証が発行されます。
事業開始後の必要書類や、登録内容に変更が生じた場合の手続きなど
以上で手続き完了ですが、事業開始後は以下の必要書類や、車体表示・車内表示ルールなどがあります。
日々の運行管理上、必要な書類や車体表示・車内表示、任意保険・共済
日々の運行管理上、必要な書類や車体表示・車内表示、任意保険・共済について以下の記事にまとめました。
登録内容に変更などが生じたときは、以下の解説をお読みください。
登録内容に変更が生じたとき
- 運送の区域を拡大する場合
- 旅客の範囲を拡大する場合(福祉有償運送で、身体障害者だけではなく知的障害者も対象とする場合など)
- 運送の種別の変更
においては、地域公共交通会議等で協議が調う必要があります。その後変更登録を行う必要があります。
2020年11月の道路運送法改正後、福祉有償運送の「旅客の範囲(利用者の区分)」の拡大・変更が、軽微な変更で対応できなくなり、都度の協議会等の開催(事前に協議が調う→運輸支局等に申請→承認)という流れになりました。
この点において、「将来の旅客出現が見込まれる場合に、たとえ旅客が現状いない場合であっても、協議会において将来の輸送対象を協議対象とすることは可能」との見解が示されています(2021年頃に、国土交通省自動車局旅客課より各地方運輸局へ、その旨をメールで展開)。
2022年9月30日には、「福祉有償運送の登録に関する処理方針について」が改定され、「申請日において運送しようとする旅客の中に該当する者がいない区分については、申請することができない。ただし、当該区分の申請に関し地域公共交通会議等における協議が調っている場合は、この限りでない。」とも示されています。
運送の対価変更については、地域公共交通会議等で協議が調う必要があります。運輸支局等への変更届出は必要ありません。
上記以外の登録事項を変更する場合には、軽微な変更届出が必要となります。
軽微な変更届出については、内容によって手続きが異なる場合があります。変更を行う場合、事前に地域公共交通会議等に届出が必要なものもあれば、変更のあった日から30日以内に、運輸支局等へ「登録事項変更届出書」を提出し、地域公共交通会議等へ報告する場合もあります。軽微な変更は、たとえば以下のようなものがあります。
- 法人・団体の名称や住所、代表者の氏名等の変更
- 運送の区域が縮小する場合
- 自動車の数、種類などの変更
- 運転者の数などの変更
変更を行う前に、事前に手続き方法について確認しておくと良いでしょう。
旅客の名簿に記載されている会員の数(旅客の数)の変更について
非営利法人・団体が行う福祉有償運送のみ、申請時に会員でない者を運送する際に、予め会員名簿に記載する(会員登録を行う)必要があります。旅客の範囲を拡大しない範囲で、会員の数(旅客の数)を変更する場合には運輸支局等に届出の必要はありませんが、地域公共交通会議等には報告が必要な場合があります。
福祉有償運送における複数乗車について
福祉有償運送における複数乗車について、地域公共交通会議等で必要性が認められた場合には、1回の運行で複数の旅客を運送(複数乗車)することができます。
輸送実績の報告
毎年、前年4月1日~3月末までの輸送実績を、5月末までに報告します。
重大事故が発生したとき
自動車事故報告規則に基づき、重大事故が発生した場合は運輸支局等に30日以内または24時間以内に事故報告(後者は「速報」という)を行わなければなりません。
登録の有効期間(2年または3年、事業者協力型は5年)満了後の更新登録
福祉有償運送・交通空白地有償運送の登録について、有効期間は2年(初回は2年)または3年となります。事業者協力型については、初回から5年となります。
以下の条件を満たす場合には、更新登録を行った後の登録の有効期間は3年(事業者協力型は5年)となります。以下の条件を満たさない場合の更新登録の有効期間は2年になります。
- 有償運送の運行管理業務について、是正のための命令を受けていない
- 有償運送の自動車が重大事故等を引き起こしていない
- 業務の全部または一部の停止命令を受けていない
更新の事務手続きは、新規登録申請と同様に申請者が書類を作成し、地域公共交通会議等の事務局へ提出し、それぞれの運送の区域における地域公共交通会議等を開催し、協議を調える必要があります。協議が調った後に、変更登録申請を行います(有効期間の満了する日から2ヶ月前から受付)。申請後、登録証が発行されます。
もしも、一部の区域において更新の必要性について地域公共交通会議等における協議が調わなかった場合は、当該地域における有効期間の更新はできません。また、有効期間が満了した後に更新登録の申請を行おうとしても、災害等によりやむを得ない場合を除き、有効期間の更新を行うことはできません。
業務を停止し、登録の取消しを行うとき(廃止届出)
業務を停止し、登録の抹消(廃止)手続きを行う場合は、運輸支局等に廃止届出を提出します。
福祉有償運送・交通空白地有償運送の運転者の要件
福祉有償運送または交通空白地有償運送の運転者は、以下のいずれかの要件を満たすことが必要です。
福祉有償運送
福祉車両(福祉自動車)で送迎輸送を行う場合
リフト・スロープ・回転シート等の装備が備わっている福祉車両で送迎輸送を行う場合は、以下の3つのうち、いずれか1つの要件を満たすことが必要です。
- 2種免許(福祉有償運送運転者講習の修了は不要)
- 1種免許+福祉有償運送運転者講習の修了
- 1種免許+ケア輸送サービス従事者研修の修了
福祉車両以外の自動車(セダン型)で送迎輸送を行う場合
上記の福祉車両以外の自動車で送迎輸送を行う場合には、上記の要件に加えて以下の5つのうち、いずれか1つの要件を満たすことが必要です。運転者が以下の資格要件を満たさない場合には、同乗者(乗務員)の一人が以下の要件を満たしていてば問題ありません。
- セダン等運転者講習の修了
- ケア輸送サービス従事者研修の修了
- 介護福祉士
- 訪問介護員
- 指定居宅介護等の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるもの(居宅介護従事者)
上記のうち、介護福祉士・訪問介護員・指定居宅介護等の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるもの(居宅介護従事者)についての詳細は、以下の通りです。ケア輸送サービス従事者研修または以下の有資格者・研修修了者は、セダン等運転者講習の受講免除対象者となります。
- 介護福祉士
- 訪問介護員
- 実務者研修修了
- 介護職員初任者研修修了(看護師・准看護師・保健師を含む)
- 訪問介護員養成研修(ヘルパー)1級修了
- 訪問介護員養成研修(ヘルパー)2級修了
- 訪問介護員養成研修(ヘルパー)3級修了
- 介護職員基礎研修修了
- 指定居宅介護等の提供に当たる者として厚生労働大臣が定めるもの(居宅介護従事者)
- 居宅介護職員初任者研修修了
- 障害者居宅介護従業者基礎研修修了
- 居宅介護従業者養成研修課程修了(1~3級)
- 重度訪問介護従業者養成研修修了
- 同行援護従業者養成研修(一般課程)修了
- 国立障害者リハビリテーションセンター学院視覚障害学科
- 行動援護従業者養成研修修了
- 強度行動障害支援者養成研修(基礎研修および実践研修)修了
- 生活援助従事者研修課程修了
- 視覚障害者外出介護従業者養成研修修了(ガイドヘルパー)
- 全身性障害者外出介護従業者養成研修修了(ガイドヘルパー)
- 知的障害者外出介護従業者養成研修修了(ガイドヘルパー)
看護師・准看護師・保健師の方は、介護職員初任者研修を修了したものとみなされます。各都道府県の判断により、「看護師等の資格証」をもって代えることができるとされています。埼玉県では当分の間、看護師等の資格証で十分で、修了証明書は発行していません。一方で、群馬県などの場合は、県から修了証明書が発行されてから、訪問介護員として従事することが可能になります。
居宅介護従業者の資格要件については、東京都福祉保健局(ふくむすび)のホームページ上で公開されているものから主たるものを抜粋して掲載しています。
交通空白地有償運送
以下の4つのうち、いずれか1つの要件を満たすことが必要です。
- 2種免許(福祉有償運送運転者講習等の修了は不要)
- 1種免許+交通空白地有償運送運転者講習(旧・市町村運営有償運送等運転者講習)の修了
- 1種免許+福祉有償運送運転者講習の修了
- 1種免許+自家用自動車管理業運転サービス科の修了
その他の共通要件
上記の要件に加え、
- 2種免許の方は、免許停止中ではない
- 1種免許の方は、過去2年以内に免許停止がない
ことが条件になります。
福祉有償運送運転者講習・セダン等運転者講習の受講が必要な方は、以下のページからお申込みください。ご希望日がない場合には、出張講習にも対応しています。
活動を始めてから、免許停止処分になった場合
活動を始めてから、免許停止処分になった場合には適性診断の受診義務が発生します。以下のブログ記事をお読みいただき、適性診断を受診してください。
適性診断を受診した後は、免許停止が解除された後に送迎業務を行うことが可能になります。
運行管理の責任者・整備管理の責任者の選任について
福祉有償運送・交通空白地有償運送を実施する場合は、運行管理の責任者・整備管理の責任者の選任が必要です。
運行管理の責任者の選任要件
1事業所あたり、以下の台数を超える事業所(特定事業所という)の場合には、一定の資格を持った運行管理の責任者の選任が必要で、かつ2年ごとの運行管理者講習(旅客)の一般講習の受講が必要で、かつ運転前後の点呼時のアルコールチェック業務が必須となります※。
※アルコールチェック業務は、安全運転管理者選任事業所とほぼ同等の取扱となり、アルコール検知器の使用については当面運用しないこととされています。2023年12月からはアルコール検知器を用いた点呼業務が必要となります。
以下の台数を超えない事業所の場合は、運行管理の責任者の資格については不問で、2年ごとの運行管理者講習(旅客)の一般講習の受講も不要で、かつアルコールチェック業務も不要です。
- 福祉有償運送に使用する自動車の数が、1事業所あたり5台以上
- 交通空白地有償運送に使用する自動車の数が、1事業所あたり5台以上(または、乗車定員11人乗り以上の場合は1台以上)
アルコールチェック業務の基準や方法は、有償運送を行っていない事業所の安全運転管理者が行う点呼業務と同じ内容になります。詳細は以下のページでご確認ください。
特定事業所の運行管理の責任者の選任要件
上記の台数を超える事業所(特定事業所)の運行管理者の責任者となるためには、以下のいずれかの資格が必要です。
- 運行管理者資格者証の交付を受けている者
- 運行管理者試験の受験資格を有する者(運行管理者基礎講習(3日間)を受講した者等)
- 自動車の運転管理について1年以上の実務経験を有し、運行管理者一般講習(5時間)を修了した者
- 安全運転管理者の要件を備える者
運行管理者講習を受講するには
運行管理者講習を受講するには、自動車総合安全情報(国土交通省)のホームページより、認定講習機関を検索して受講してください。
安全運転管理者の選任は不要
2022年10月の道路交通法の改正により、自家用有償旅客運送(福祉有償運送・交通空白地有償運送)の実施事業者は、安全運転管理者の選任が不要となりました。以下のページをご覧ください。
自動車の整備管理者の選任要件
整備管理の責任者の選任は必要ですが、資格については不問です。
福祉有償運送・交通空白地有償運送のその他詳細
上記に記載した以外の、その他の細かい内容について以下にまとめました。
福祉有償運送 | 交通空白地有償運送 | |
---|---|---|
運送の区域 | 地域公共交通会議等により協議が調った市区町村などを区域とし、出発地または到着地のいずれかが区域内にあること | 路線を定めて運行するか、デマンド運行を行う もしくは、区域を定めて、出発地または到着地のいずれかが区域内にあること |
使用車両 | 乗車定員11人乗り未満の自動車 福祉車両もしくは福祉車両以外の自動車 運転者自身の持ち込み車両等も可 | 乗車定員11人乗り以上の自動車 乗車定員11人乗り未満の自動車(福祉車両を含む) 運転者自身の持ち込み車両等も可 |
運送の対価 | 距離制・時間制・定額制 実費の範囲内であり、営利として認められないこと 概ねタクシー料金の8割程度であるが、地域公共交通会議等で認められた場合には8割を超える対価設定も可能 (埼玉県の生活サポート事業による運送を行う場合は、生活サポート適用の場合の対価設定も必要。) 運送の対価以外の料金として、迎車回送料金・待機料金・資機材のレンタル費用など (会員となるときの入会金、年会費、月会費その他の名目の、団体活動の維持・運営に当てられる会費などは、ここでの対価には含めない) | 路線を決めて行う場合、その地域における撤退前のバス運賃を目安に、地域公共交通会議等で協議が調った対価設定 距離制・時間制・定額制 実費の範囲内であり、営利として認められないこと 概ねタクシー料金の8割程度であるが、地域公共交通会議等で認められた場合には8割を超える対価設定も可能 運送の対価以外の料金として、迎車回送料金・待機料金など |
地域の実情に応じて、自家用有償旅客運送に係る運送の対価設定について、2024年4月26日以降は一定の条件下でダイナミックプライシング(5割増を上限・5割引を下限として対価の額を変動設定すること)の導入も可能となっています。
交通空白地有償運送は、乗客の車内置き去り防止の徹底を行うよう通達
交通空白地有償運送は、乗客の車内置き去り防止の徹底を行うよう、2022年9月30日付けで国土交通省自動車局旅客課長名義で通達が出ています。
事業者協力型自家用有償旅客運送とは?
事業者協力型自家用有償旅客運送とは、2020年11月27日より施行された(その後改正あり)、福祉有償運送・交通空白地有償運送の
- 運行管理
- 整備管理(自動車の整備管理)
- 旅客の運送の手配に係る配車サービスの提供(2023年11月2日改正・施行)
を、一般旅客自動車運送(バス・タクシー)を行っている事業者の協力を得て行うものです。
運送を行う法人・団体が、上記の協力事業者に運行管理・自動車の整備管理などを委託することになりますが、委託する業務内容・範囲、責任に具体的な規定はありません。事業者間で取り決めます。
事業者協力型で福祉有償運送・交通空白地有償運送を実施する場合、
- 登録時(新規・更新)に必要な書類が一部省略
- 登録の有効期間が5年
になります。
交通空白地有償運送の事業者協力型自家用有償旅客運送で可能になること
2024年4月26日に、一般乗用旅客自動車運送事業者及び自家用有償旅客運送者 による共同輸送サービスの提供についてという通知が出ましたが、交通空白地有償運送を実施する市町村または特定非営利活動法人等は、事業者協力型自家用有償旅客運送を実施する場合は、
- 近隣のタクシーの配車が困難な場合に、自家用有償旅客運送自動車を配車を導入すること
- 自家用有償旅客運送者が収受する金額について、自家用有償旅客運送に係る対価に地域の公共交通の確保維持に活用するための協力金を加え、当該地域のタクシー運賃と同額にすること
が可能となります。
上記の協力金は、共同輸送サービスのサービス向上に充てるものよし、この場合は当該協力金についても自家用有償旅客運送者が法令上収受できる実費とみなします。協力金の使徒および管理者については、共同輸送サービスの提供について協議を行う地域公共交通会議において、協議を調えるものとします。
自動運転による、自家用有償旅客運送も始まっている
自動運転(自動運行)による自家用有償旅客運送も、すでに法律上運行が可能となっています。
自動運行の場合には、運転者の代わりに「特定自動運行保安員」の乗務(乗務中は制服の着用や、「特定自動運行保安員」であることが識別できるようにする必要あり)または遠隔から運行の安全確保に関する業務を行わせることが必要で、保安員は「運転者」の場合と同様にアルコール検知器を使用した点呼業務が必要です。
福祉有償運送と関連する介護給付費などの制度
主に福祉有償運送と関連する介護給付費などの制度は、以下の通りです。
- 介護保険による訪問介護の通院等乗降介助(訪問介護の「身体介護中心型」を含む)
- 障害福祉サービス(居宅介護、行動援護、同行援護、重度訪問介護)の個別給付による移動支援(通院等乗降介助など)
- 市町村事業の地域生活支援事業による移動支援(同様の取り扱いが行われる自治体がある)
地域によっては乗車運賃の割引として福祉タクシー券が利用できる場合があります。
埼玉県内においては、障害者および障害児について「生活サポート事業(独自の制度)」が利用できる場合があります。
また、福祉有償運送で要支援者・基本チェックリスト該当者の送迎を行う場合、以下の介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)に基づく運営費の補助が受けられる場合があります(訪問型サービスD(移動支援)・訪問型サービスB)。
【最後に】この記事を読んでいただいたみなさまへ
この記事を読んでいただいて、みなさまの現場でお役立ていただければ大変うれしく思います。
また、記事をお読みいただいた方から、時折当社へ「福祉有償運送」や「訪問介護員等による有償運送(ぶら下がり許可)」などの許認可申請に関するご質問やご要望をいただくことがございます。しかしながら、ある程度以上のお話しになった場合には、該当する許認可申請などについては、必ず管轄の行政機関へ直接お問い合わせいただくようにご案内させていただくか、もしくは行政書士へお繋ぎをするなどの対応させていただく場合がございますのでご了承ください。
当社では行政書士が不在のため、一定の内容以上の許認可申請にかかわるお話しになった場合については、上記の通り回答できない場合がございますので予めご容赦いただくますようお願い申し上げます。